寅卯天中殺は、なかなかスケールの大きい、度胸のいい人です。六つの天中殺の星のうち、一番エネルギーも大きいし、スケールも大きいです。この天中殺の星に生まれることで、運勢もその意味で、洋々たるものです。

寅卯天中殺は「二代運、三代運」で、親の跡を悠々と継いで、しかも、それをさらに大きくさせることができます。こういう“親孝行”の運を持った天中殺の子供は、子供運のいい親からしか生まれないのです。非常に強い前進力のエネルギーを持っており、ブルドーザーで、しかも、エンジン全開で突っ走るような迫力があります。三十代,四十代、五十代という働き盛りの中年期にぐんぐんと運勢が上がる人です。寅卯天中殺の性格は、よくも悪くも度胸がよい、思い切りがよいが、多少用心深さに欠ける面もあります。どんな人とでも、「三分話せばお友達、五分話せば親戚づきあい」。これが、寅卯天中殺の人との付き合い方です。人からも大変好かれます。外面はいいほうです。こういう性格や特質は、サラリーマンやOLとしてももちろんいいですが、政治家や実業家に最適です。ものごとの先を心配して細かく詮索したり、検討したりするのは苦手です。

寅卯天中殺は母親、兄弟運にはあまり恵まれません。なんでも自分でやってしまうタイプですから、また真からの友人にも欠けるところがあります。大ざっぱな性格だけに、家族の抱える悩みや問題にはいっこうに神経が届きません。奥さんが家のことで何か相談しようとしても、「家族のことはまかせてある、好きにやったらいいじゃないか。いちいちうるさい」の一言。「えらそうにしちゃって。家のこと一つ始末できないのに」とか、家族からの評価はかなり低いでしょう。口にはトゲがあるけれど、行動には情があります。

異性にも好かれ、特別に色恋沙汰というのでなくても、“なんとなく魅力的”に見えます。それでいて、男女関係は真面目なので、浮気・不倫のつもりが本気になってしまい、いったん恋に落ちると始末が悪いのです。

■寅卯天中殺の幸運・衰運のサイクル

天中殺期間を抜け出して間もなく、突然のエアポケットのような落ち込みを経過することになる、珍しい運の流れをもつのが寅卯天中殺の天中殺サイクルです。6つの天中殺の星のうち最も大きなパワーを持つ寅卯天中殺が、その力を充分に発揮できるかどうか――それがこの、天中殺あけにやってくる落ち込みをどう越えるかにかかっています。本来、12年の天中殺サイクルごとに、サナギが蝶に変身するように大きく飛躍していける宿命をもつ寅卯天中殺。いわば「羽脱の運とも言うべきその宿命を活かしきるには、実は、この天中殺から続く数年間の生き方にあるのだということは、今まで誰一人語らなかった天中殺の秘中の秘です。寅卯天中殺にとって出発点は2年間の寅年、卯年の天中殺です。まず、一番の問題は、寅卯天中殺の天中殺中の行動で、寅卯天中殺は実は天中殺期間に、してはいけない新しい事に次々と積極的に手を出してしまうという運を持っているのです。寅卯天中殺は、男女とも大変に真面目な働き者で義理人情にも厚いため、仕事に熱中して天中殺の間もぐんぐん仕事をしてしまうし、また、自分ではどうかと思うことでも、頼まれるとついやってしまう。それで、天中殺の災厄現象は案外少ないといっていいくらいに感じられます。そのため「やっぱり強運だ」などと思ってしまうかも知れませんが、実はこの“どんどん新しいことに手を出していく”ことこそ、寅卯天中殺の天中殺現象なのです。その天中殺期間に働きすぎたことの歪みが次の二巡目、つまり二綋期の辰年と巳年に表われてきます。辰年は、天中殺を抜け出てすぐ、運気が上昇しているためあまり問題はありません。むしろ、「経済的な恩恵」のある現象が暗示されています。「何だ、天中殺に何かしてはいけないと言ったって、成功したじゃないか」と言う気持ちになるくらいです。ところが、グラフを見てください。辰年から巳年にかけて、とたんに、運気がドスンと落ち込んでいるのがお分かりでしょう。寅卯天中殺にとって、特にこの巳年が人生最大の危険な時期になります。文字通り、天中殺のつけをここで払わさせられることになるのです。天中殺中に始めた仕事は全てダメになったりし、人間関係の争いが非常に多くなります。争いが人間不信にまでつながり、時には自分の心まで信じられないくらいの深い心の闇を経験することにもなります。相手も信じられず、相手からも信じられず、信用、信頼という大事なものを失うことになりかねません。辰年から巳年にかけては「盲いて、千仞の谷沿いの小径を歩く如し」といった危ない時期。この二綋期の巳年は、自分の運命の軌道を見失いかねない危険期といえます。一歩一歩に神経を配り、目的を見失わずに慎重に進んで抜け出すべきときです。ようやく暗闇を脱出して、三巡目の2年間、三綋期の午年と未年がきます。何も悪いことは起きないけれど、午年には自らの心の迷いを見つめ、非常に孤独に過ごすことになります。反省し思索し深く人生を考える年。精神的なものが強調される年になります。さて、三綋期後半、未年は新しい運気の大いなる出発のときとなります。天中殺のつけをすっかり払い終えて、反省のときを経過することで、より大きな出発点に立つ――その意味で、方向を見失うことさえなければ、天中殺から続いた二綋期までの災厄は決して無駄にはならないということが出来るでしょう。未年に入ると、じっとものを考えているわけにはいかない状況が押し寄せてきます。実業家なら仕事が拡がっていく、勤め人なら新しい別のジャンルまで手を広げさせられる、私生活上でも町内会、同窓会などの仕事が増える‥‥という具合に、活動範囲、行動半径が広がります。出張、外国旅行も頻繁です。あっという間に1年が経つような活動期。この年が「幸運へ向かう土壌作り」で、次の上昇へのきっかけを作る年であり、そのきっかけを与えてくれる人間関係が広がるのもこの年なのです。自分より社会的地位とか立場が上の人たちとの人脈ができてきて、引き立ててくれます。人生の師ともめぐり逢えるときです。まさに「幸運の入り口に立つ」年になります。運気、気力ともに充実して、いよいよ、最高運の六綋期、申年、酉年を迎えます。図でお分かりのように天中殺のちょうど真向かい、正真正銘の最高運です。自分の才能、能力を100%全開して稼動する――全エネルギーをフル回転させて消耗しきるとき。自分の行動力、知恵、信用度、才能、能力の全てが社会に対して花開くチャンスです。当然、信用がついてきます。未年で広がった人脈が生きてきます。この年に得た信用は、次の天中殺が来ても崩れることなく生涯続くものになるほどの評価が得られます。酉年はさらに「名誉、地位」を得る年。サラリーマンなら昇進――それも係長が課長になるといった程度でなく、大抜擢です。一気に子会社の重役や社長に転進ということも起こりうるような昇進。芸能人なら人気が爆発的に出るというように、社会的な地位が上がり、名誉がつかめます。財、名誉、愛情‥‥全て順調にいきます。次の五綋期、戌年、亥年の2年間はのんびりと楽しいとき。六綋期の激しい活動で得た経済力や名誉に恵まれながら、私生活も楽しめる年となります。戌年は家族サービス、恋人との時間も楽しめる‥‥周囲へ奉仕して、また、自らも楽しい時間が持てるときです。次の亥年も基本的には同じ現象が続きますが、ここはむしろ「学んで吉」となります。戌年で遊びや趣味の人間関係が広がり、今まで知らなかった世界と触れます。亥年に入ると、そうした新しい世界の人たちとのつき合いが多くなるので、必然的に勉強。が必要な時期となります。仕事関係の人といっても、全く違う職業の人との間に人間関係が広がり、新しい知識を吸収することになるわけです。この亥年にどれだけ学ぶか――それが、実は次の天中殺の災いを避けるための秘法なのです。ここで、さまざまな知識を吸収できるかどうかに、次の天中殺をうまく乗り切れるかどうかがかかっている――本ばかりでなく、人とつき合う、異性から学ぶ。学ぶことで自分の考え方、目指すものが変わってくる。それが大切です。いよいよ次の天中殺前の四綋期、子年と丑年です。子年は、嗜好、趣味、着るもの、食べるものなど、好みがいろいろ変わってきます。つまり「体質の変化」。多少身体を弱くすることがあるかもしれませんが、その結果、食べ物の好みが変わったり、服の好みが変わったりする変身の年です。外見だけでなく、精神的なものも変わってきます。実は、ここで「変身」――心身ともに変わっておくことで、次の天中殺にドスンと落ち込まない抑えが出来るのです。寅卯天中殺には、亥年の勉強といい、子年の変身といい、実にさまざまな天中殺現象を抑える準備がされているのですから幸運です。逆に言うと、ここでたとえば、人間の見方や、仕事に対する価値観などを変えておくことで、今までのサイクルを無駄にせず、次のサイクルへつなげていけるということなのです。子年の変身にこそ、次の天中殺を軽く済ませる鍵があるのです。丑年は、申、酉、戌年と同様「経済力の運勢」。収入増大です。異性運もありますが、こちらへ動くと、次の天中殺は荒れてきます。こうして再び天中殺へ入ります。寅卯天中殺の天中殺への入り方は緩やかです。新しいことをしなければ寅年はそのまま通過。災厄は卯年に集中するのが宿命の流れです。寅卯天中殺の運は、亥年、子年、丑年をどう過ごすかに、次の天中殺を無事に通過できるかどうかがかかっています。これができるようになると、寅卯天中殺は次第に天中殺の影響をうすくことができます。特に、六十歳代を越えると、天中殺の効力がうすくなる特色があるからです。