辰巳天中殺は、とにかく現実的で行動力に富み、たくましく生きていきます。それもどちらかというと、ドラマチックな起伏の激しい人生を送る人が多いのが辰巳天中殺の特徴で、どんな逆境に置かれてもしたたかに生きていく、そんな生命力の強さも持っています。そんな個性が、ともすると人の言うことを素直に受け入れない頑固さに出ることもあります。また、本人は決して人は悪くないのですが、言葉や表情にあらわすことが下手なため、誤解を受けることがあります。

会社や社会の組織からはみだしていく、家族からはみだしていく、生まれた家の家系からはみだしていく、おさまりきれないエネルギーが溢れる、生まれながらの「はみだし者」といえます。辰巳天中殺の子供は、若いうちに親元を離れていくことになります。親のそばにいようとすると、案外苦労が多くなります。親との縁が薄い面があります。両親が離婚したとか、片親を早く亡くしたとかで、片親の縁の薄い傾向があります。あるいは、お父さん子、お母さん子という具合に、親との縁に偏りが出やすいという特色もあります。組織に入っても、企画や開発といった部門で、つねに新しいものと向かっていくようなところが向いています。

また、ある種の二面性があり、「他人のことなんて関係ない、自分さえよければいい」といった、非常に薄情なタイプと、反対に、「人の苦しみや悲しみを自分のもののように感じてしまう」非常に情的なタイプの極端な二派に分かれます。こういう二面性は個々の中にもあるので、「やさしいのだか、薄情なのかわからない」という二面性が、周囲を振り回したりします。

辰巳天中殺の考え方、行動の仕方は非常に直感的です。人の話を聞いて反射的にパッと判断します。才能豊かにぐんぐん伸びるときがあるかと思うと、反対に、個性が強すぎて嫌われ、突然みんなから追い落とされてしまうというように極端です。したがって、運勢の波は非常に荒くなり、グラフにすると、その線はまるでノコギリの歯のように鋭くなります。経済や政治の世界の駆け引きや競争といった、現実の激しい世界では、大変にたくましいエネルギーを発揮します。革命家や冒険家の職業の人も多いです。

■辰巳天中殺の幸運・衰運のサイクル

 

誰にとっても、天中殺というのは、当然、運気が落ち込む時期ですが、それにしても、辰巳天中殺にとっての天中殺はひどいことになります。もともと、辰巳天中殺というのは運の質が粗く、運勢の上下、浮き沈みが非常に荒いという特徴があります。ですから、天中殺の訪れかたも“並”ではないのです。入ったとたんに、運勢の大揺れが起こり、辰年、巳年の2年間は揺れ続けます。具体的に衝撃的なことが起こったり、精神的に異常なくらい揺れて、結果としてとんでもない考えから行動してしまうこともあるという2年間です。巳年も、その激しく揺れる心と神経では到底まともな判断も行動もできないでしょう。ドタバタと間違った方向へ走り回り、全て空しく終わるはずです。日常から大きな行動、仕事をしている人ほど、その傾向は強まります。その結果、辰巳天中殺は天中殺の2年間ですっかりエネルギーを使い果たしてしまいます。そして、やっと、天中殺のあける午年に入ったときには、エネルギーはゼロ。いよいよ「何をしてもいい」行動の時期へ入ったはずなのに、精神的にすっかり消耗しきって、くたびれ果てているのです。だから、午年は、大変「静かな年」になるのが宿命です。特に、六十代以降の晩年期の人や小中学生ぐらいの子供の場合には、一種の「脱力感」に襲われたような状態になります。二綋期の2年目、未年に入ると、辰巳天中殺の性格のプラス面が出てきます。未年には、自分の欲、あるいは個人的な夢といったものがじわじわと沸いてきて、よい方向性を持ち始めます。たとえば、子供なら「こういう学校へ行きたい」「将来はこういう職業につきたい」といった未来展望や夢といったものがはっきり浮かんできます。また働き盛りの三十代、四十代の人でしたら、「出世したい」とか「独立したい」といった気持ちに駆り立てられてくる――つまりようやく運勢は立ち直り始めるわけです。次の三綋期、申年、酉年は、極めてありがたい財運期。運勢的にはまだ最盛期を迎えていませんが、じわじわ上がってきた運が、ここでもう一回力をつけてきます。現象としては、「経済的なものが動いてくると、天中殺の秘法は告げています。ですから、お金の運、たとえば不動産を買ったり、自分にとっては高価な品物、自分なりに価値のあるものを買うことが多くなります。人によっては土地やマンションを、また、ある人にとっては指輪や毛皮、車や高性能のオーディオ製品、絵とか骨董品ということもあるでしょう。どちらかというと、申年にお金が入り、お金が集まってくるような運が出てきて、具体的な財産の形成、つまり、ものが手に入るのは酉年という傾向が強いのです。申年に収入が増えたり、良い仕事の話が持ち込まれたりして、お金の入る見込みがつくという形になります。辰巳天中殺にとって一番運期が強いのは、円周の図でちょうど天中殺と向かい合った戌年と亥年。しかし財力はその最高運の手前、申年、酉年でつかむことになるのが辰巳天中殺の特徴です。子供時代に申年、酉年がくると逆にお金を使うことになります。お金を稼がないけれど、使えるということも財力の一つのあらわれです。したがって、辰巳天中殺の子供を持つ親なら、申年、酉年には、子供のために思いがけない出費をしてしまうことになります。買い物ぐらいなら幸いなわけで、怪我や事故のために病院代がかかるとか、他人への賠償金を支払うとか‥‥ということもあるわけです。反対に、これが老人ですと、お金を貯めこむ形があらわれる傾向が強いのです。本来の意味で、申年、酉年に「財に恵まれる」ことになるのは、青年期、中年期の働き盛りの年代だと思った方がいいでしょう。六綋期、戌年、亥年に入ると、最も運勢の波が高くなる時期で、グラフの線は安定した高さを示しています。心配事はなく、自分の考えや思ったことがスムーズに実現していきます。戌年と亥年の2年間、辰巳天中殺の人は何らかの形で、「社会的地位」が上がります。子供なら受験で思いがけない良い学校へ受かるとか、若い女性ですと、“玉の輿”のような縁談が舞い込みます。サラリーマンなら、いつも同僚、後輩に先を越されて口惜しい思いをしていた、課長や次長のポストに手が届くのもこの年。特に、戌年にチャンスがあります。逆に言えば、戌年、亥年がめぐってこない間は社会的地位という意味では、本命の運をつかむチャンスは来ないということ。そして、亥年の方は「人脈運」――この年は最高運の年ですから、非常に良い人間関係が広がっていきます。ちょっと紹介されただけの人が思いがけない役に立つ人を連れてきたり、またその人が‥‥というような広がりが起こる年です。次の五綋期、子年、丑年に入ると、運気はまだ安定して強いのですが、考え方が変わってくる「思考の変化」のときを迎えます。特に、子年には、「自分の生き方はこれではいけないのではないか」というような気持ちに強く捕らわれるようになります。中年期、青年期の真ん中にいるような人には、特に強くそうした傾向があらわれます。六十代以上とか十代の子供には現れにくい現象です。そして、丑年になると、その考えを行動に移そうとします。辰巳天中殺の人生の波は荒く、その運期の下降がこの丑年に来ている――グラフを見ると、丑年の運気は少し落ち込んでいます。その年に、自分の人生を変えようと冒険的な行動に出たくなる!次の天中殺が近づき、運のエネルギーも低い丑年に行動したくなる――当然、その冒険には危険が伴います。丑年で行動を起こすと、最初の1~2年は非常に順調にいきます。しかし、長続きはしにくい。たとえば、アイデアは次から次へ出てくるのに、身体がついていかないとか、予定していた協力者が途中で突然いなくなるといったことが起こりやすいのです。ですから、単独での行動は危険です。できる限り、運勢の強い人と組むべきです。それでも、突拍子もないような計画では危険が大きいと思った方がいいでしょう。次にそろそろ運が落ちてくる四綋期は寅年と卯年です。寅年は非常に活気のある年になります。丑年の落ち込みの後、ぐーんと跳ね上がって、また運が回復したように見える、そしてエンジンのフル稼働。エネルギーを消耗させて働く年が寅年。卯年はそれが少し落ち着いてきます。そして、一気に、辰年、巳年の天中殺の激しい運の揺れの中へ突入していく――これが辰巳天中殺の天中殺サイクルです。辰巳天中殺にとって、強く良い運勢の時期が寅年、卯年、そして、戌年、亥年の二ヶ所あります。反対に、天中殺以外に丑年にも運の穴ぼこがあります。辰巳天中殺は、天中殺を抜けるときはだらだらと抜けながら、入るときは急激に突入するという要素があるのも特徴の一つ。この避け方は、天中殺に入る時期に、あまり大きな行動をしないということです。そして、天中殺が終わっても、1年くらいはのんびり過ごすつもりで構えていればいいのです。